とある巫女の変貌~鏡神楓の場合~

鏡神楓(かがみ ふう)はかつては退魔師として名を馳せていた鏡神家の末裔である。
しかし、近代化と共に一族の退魔の力は失われつつある。
実際に、彼女の兄である鏡神海(かい)は退魔師としての能力も皆無であり、家業を捨てて都会へと出てしまった。
彼女自身も退魔師としての力は残されているモノの、既に魔と呼べる存在は駆逐され、退魔師の仕事もなく、現在では鏡神家が仕える神社で細々と巫女をやっているだけであった。

「はぁ……兄さんは今どこで何をしてるんでしょう……」

本日も日課の庭掃除をしながら考えるのは家を出た兄のことばかり。
既に父親を亡くし、兄と共に母親に育てられた楓にとっては兄の海はかけがえのない大切な肉親であり、離れて暮らす兄のことを心配すると同時に、その行動力の高い兄に憧れも抱いていた。

また、楓は生まれつき身体が弱く、いつも両親や兄に心配を掛けていた。
それが彼女の兄への依存度高めていたのだが……

現在でも病を患っており、時折発作が彼女を苦しめる。




本日もその発作の予兆が見られた。
ただ、いつもと違ったのは、胸は痛いのだが、胸以外の身体はいつも通り。
むしろいつもと比べて体が軽くなっている様にも感じられた。
気分が高揚しているのかもしれない。

自分の身体の異変を不思議に思いつつも、高揚した意識の中、気が付くと神社の裏手にある洞穴に来ていた。
いつも見慣れている洞穴。
ただ、何かいつもと違う気がする。

そんな気がして洞穴の奥へと進んだ。
見慣れていたはずの洞穴の中身は、先日の台風で地形が変化したのかもしれない。
通路は奥へと伸びていた。




洞穴の奥には……碧色の光を放つ、透明で、水晶であろうか、彼女が生まれて見たこともない幻想的な物体が横たわっていた。

この石が私を呼んだに違いない、そう考えることにした。




「これは……なにかしら……」

そう呟いてその石に触れた瞬間、彼女の眼前に見知らぬ世界が広がった。
幻想的な街、幾何学的な海岸、そびえ立つ山脈、水に溢れる渓谷、そびえ立つ塔、そして見知らぬ墓地……

果てのない情景の後に彼女は倒れ込むように気を失った。










どれくらい時間が経っただろうか。
いや、実際の時間はそれほど経過してはいないだろう。
だが、彼女の中では3年ほどの月日が経過したようにも思えた。

ゆっくりと目を開ける。
そこは自分が倒れていた洞穴と同じ場所。
ただ、その洞穴は元通りになっており、気を失う前に見た神秘的な物体-石は影も形もなかった。
しかし目の前で起きた超常的な現象に思えるそれも、今の彼女にとっては全く気にならなかった。




彼女はゆっくりと立ち上がる。
彼女の履いていた袴はぼろぼろに破けているらしい。
彼女の足も裸足であった。






なぜか頭がむず痒い。
手を触れてみると覚えのない突起を感じることができた。
眼鏡もどこかに落としてきたようだが、眼鏡がなくても目の前に見える世界が広い。
また、不思議なことに目に見えない部分もその突起で感じることができるようだ。






しばらく裸足のままでふらついていると、目の前に人間が現れた。
その人間は仕切りに誰かの名前を呼んでいるようだが、いまの彼女にはそれが誰のことか分からなかった。






「お腹が……空きましたの……」







そう呟くと、彼女は自分の腰の辺りに違和感を覚えた。
その違和感はそのまま前方へ伸びて行き、一つの形を司った。
どうやらその「違和感」は彼女の意思で動かせるらしい。
そう悟った彼女はそれを眼前にいる人間へと伸ばして行った。




……
…………
………………




彼女は存在と存在が混ざることに快感を覚えていた。
それは食べ物が血肉を形成することを直接感知する様な、それに似た感覚であった。

既に彼女の体の弱さは克服されていた。
病弱だった自分が嘘のように体が軽い。
それだけでなくて、今ならどんなことでも叶いそうな、そんな高揚した気分になっていた。





背中に違和感……いや、先ほど彼女が感じたような違和感ではなく、それは快感であった。
そっと目を閉じてその違和感をイメージする。

気が付くと彼女の背中には一対のこの世のモノとは思えない羽根が形成されていた。








「ふふ……兄さん待っててね……今すぐそっちに行くから……」




―いま、一筋の悪意が飛び立った。








というわけでpixivに投下したこれ↓↓

とある巫女の変貌 by 緋風 on pixiv


にSSを付けてみましたが、いかがだったでしょうか。

元々は絵描き復帰しようと決意した私が、「あ~最近無性に異形化描きたい!」というノリでたまたまふーかいさんに狙いを絞ったところ、快くOKを出してくれまして、モンヴァサさんのふーかいさん二次元女体化のイラストを参考に、改めて巫女姿の楓を描き、これを異形化させてみました。
鏡神(かがみ)という名字はMizuhaさんから頂きました。

完全、ってわけでもないですが、オリジナルの作品を投下するのは初めてで、上手くいったかどうかは測れませんが、個人的にはSSを併せて満足できる作品に仕上がったと思います。

またこういう風にコラボとかできればいいな、と思いつつ、絵描きの修業をこれからも積んで行こうと思います。


というわけで今回は差分を用意したのでおまけ

人間界のふーさんはこういう風に擬態するんだと思うの。
耳出てますけどね!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください